不動産取得税はいつ払う?支払い時期と納付方法を詳しく解説【2025年最新版】

公開日: 2025年8月17日
更新日: 2025年8月17日
税理士監修
監修者情報

この記事は、不動産税務を専門とする税理士 佐藤雅彦(東京税理士会所属)が監修しています。15年の実務経験を持ち、年間200件以上の不動産税務相談に対応。最新の税制改正(令和7年度)に対応済みです。

不動産取得税はいつ払う?支払い時期と納付方法を詳しく解説

不動産を取得した際に課税される不動産取得税について、「いつ払うのか」「どのように支払うのか」といった疑問をお持ちの方は多いでしょう。この記事では、不動産取得税の支払い時期から納付方法まで、2025年最新の情報を税理士が詳しく解説します。

重要なポイント
不動産取得税は取得と同時に支払うものではありません。都道府県から納税通知書が届いてから支払います。通知が来るまでの期間や支払い方法を正しく理解しておくことが重要です。

1. 不動産取得税はいつ払う?基本的な支払い時期

不動産取得税は、不動産を取得した時点では支払いません。実際の支払いは、都道府県から納税通知書が送付されてから行います。

一般的な流れ

  1. 不動産取得(登記完了)
  2. 3〜6ヶ月後:納税通知書が届く
  3. 通知書到着から30日以内:納付期限

※地域や物件により多少の差があります

重要なポイント

  • 取得と同時の支払いは不要
  • 通知書が届くまで待つのが正解
  • 軽減措置の申請は事前に可能
  • 延滞金を避けるため期限厳守

なぜ取得後すぐに支払わないのか?

不動産取得税は都道府県税であり、各都道府県が登記情報を確認してから課税額を計算し、納税通知書を作成・送付するためです。また、軽減措置の適用可否を判定する時間も必要となります。

2. 納税通知書が届く時期と内容

納税通知書は、不動産の登記が完了してから3〜6ヶ月程度で届きます。ただし、物件の種類や地域によって時期が異なります。

物件種別 通知書到着時期 備考
中古住宅・マンション 取得後3〜4ヶ月 比較的早い
新築一戸建て 取得後4〜6ヶ月 建物完成後に課税
土地のみ 取得後3〜5ヶ月 住宅建設予定で軽減措置あり
新築マンション 取得後4〜6ヶ月 引き渡し後に課税

納税通知書に記載される内容

基本情報

  • 納税義務者の氏名・住所
  • 不動産の所在地・面積
  • 取得年月日
  • 課税標準額(固定資産評価額)

税額情報

  • 税率(3%または4%)
  • 軽減措置の適用状況
  • 納付税額
  • 納付期限

通知書が届かない場合

取得から6ヶ月以上経過しても通知書が届かない場合は、管轄の都道府県税事務所に問い合わせることをお勧めします。住所変更や軽減措置の適用により、通知が遅れる場合があります。

3. 納付期限と延滞金について

不動産取得税の納付期限は、納税通知書が到着してから30日以内が一般的です。期限を過ぎると延滞金が発生するため注意が必要です。

延滞金の計算方法(2025年)

期間 延滞金利率 備考
納期限の翌日から1ヶ月間 年2.4% 特例基準割合+1%
1ヶ月経過後 年8.7% 特例基準割合+7.3%

※2025年の特例基準割合は1.4%

延滞金計算例

税額:10万円
延滞期間:2ヶ月

  • 1ヶ月目:100,000円×2.4%÷365×30日=197円
  • 2ヶ月目:100,000円×8.7%÷365×30日=716円
  • 合計延滞金:913円

延滞金を避けるための対策

  • 納税通知書の確認:届いたらすぐに納付期限を確認
  • 資金準備:事前に納税資金を準備しておく
  • 早めの納付:期限ギリギリではなく余裕を持って納付
  • 納付方法の確認:利用可能な納付方法を事前に調べておく

4. 不動産取得税の納付方法一覧

不動産取得税の納付方法は多様化しており、現金納付からキャッシュレス決済まで様々な選択肢があります。

従来の納付方法

  • 金融機関窓口
    • 銀行、信用金庫、農協等
    • 現金または口座振替
    • 手数料:無料
  • 都道府県税事務所
    • 現金納付
    • 手数料:無料
  • 郵便局
    • 現金納付
    • 一部地域で利用可能

キャッシュレス納付

  • コンビニエンスストア
    • セブン-イレブン、ローソン、ファミマ等
    • 現金・電子マネー対応
    • 24時間利用可能
  • クレジットカード
    • オンライン決済
    • 手数料:税額の0.8%程度
    • ポイント還元あり
  • 電子納税(eLTAX)
    • インターネットバンキング
    • ダイレクト納付

納付方法別のメリット・デメリット比較

納付方法 手数料 利用時間 メリット デメリット
金融機関窓口 無料 平日9:00-15:00 確実、手数料無料 時間制限あり
コンビニ 無料 24時間 便利、24時間対応 30万円以下のみ
クレジットカード 0.8%程度 24時間 ポイント還元、分割可能 手数料がかかる
eLTAX 無料 24時間 自宅から納付可能 事前登録が必要

おすすめの納付方法

  • 30万円以下:コンビニ納付(手数料無料、24時間対応)
  • 30万円超:金融機関窓口またはeLTAX
  • ポイント重視:クレジットカード(手数料を考慮して判断)
  • 急ぎの場合:都道府県税事務所への直接納付

5. 物件種別による課税タイミングの違い

不動産取得税の課税タイミングは、物件の種類によって異なります。特に新築物件と中古物件では大きな違いがあります。

新築一戸建て

課税タイミング

  • 土地:土地取得時
  • 建物:建物完成・引き渡し時

通知書到着

  • 土地:取得後3〜4ヶ月
  • 建物:完成後4〜6ヶ月
土地と建物で別々に通知書が届きます

新築マンション

課税タイミング

  • 建物・土地:引き渡し時に一括
  • 区分所有権の登記完了後

通知書到着

  • 引き渡し後4〜6ヶ月
  • 建物・土地分を合算
軽減措置の適用で税額が大幅減額される場合が多い

中古物件

課税タイミング

  • 建物・土地:所有権移転登記時
  • 引き渡しと同時期

通知書到着

  • 取得後3〜4ヶ月
  • 比較的早い
築年数により軽減措置の適用可否が決まる

土地のみ取得の場合の特別な取り扱い

住宅建設予定の土地

  • 軽減措置:課税標準額を1/2に減額
  • 適用条件:取得後3年以内に住宅建設
  • 申請:事前申告により適用
  • 通知時期:取得後3〜5ヶ月

投資用・その他の土地

  • 軽減措置:原則として適用なし
  • 税率:3%(住宅用地と同じ)
  • 課税標準:固定資産評価額
  • 通知時期:取得後3〜4ヶ月

6. 特殊なケースでの支払い時期

一般的な不動産取得以外にも、特殊なケースでは支払い時期が異なる場合があります。

  • 課税対象:各共有者の持分に応じて個別に課税
  • 通知書:共有者それぞれに送付
  • 支払い時期:通常と同じ(取得後3〜6ヶ月)
  • 軽減措置:各共有者の持分に応じて適用
:夫婦で1/2ずつ共有の場合、それぞれに通知書が届き、持分に応じた税額を支払います。

  • 課税対象:贈与を受けた人(受贈者)
  • 課税時期:贈与による所有権移転登記時
  • 通知書到着:登記後3〜6ヶ月
  • 軽減措置:住宅用であれば適用可能
注意:贈与税と不動産取得税の両方がかかる場合があります。事前に税理士への相談をお勧めします。

  • 課税対象:取得した法人
  • 税率:4%(住宅用でも軽減なし)
  • 通知書到着:取得後3〜4ヶ月
  • 軽減措置:原則として適用なし
重要:法人の場合、個人向けの軽減措置は適用されません。税率も4%となるため注意が必要です。

  • 課税時期:代金納付・所有権移転時
  • 課税標準:競売価格ではなく固定資産評価額
  • 通知書到着:取得後3〜6ヶ月
  • 軽減措置:住宅用であれば適用可能
ポイント:競売価格が安くても、固定資産評価額に基づいて課税されるため、思わぬ税負担が発生する場合があります。

7. 支払い時期の計算例とシミュレーション

実際のケースを想定して、不動産取得税の支払い時期と税額を計算してみましょう。

ケース1:新築一戸建て購入

物件概要

  • 土地:2,000万円(評価額1,400万円)
  • 建物:2,500万円(評価額1,750万円)
  • 床面積:120㎡
  • 取得日:2025年4月1日

支払いスケジュール

対象 通知時期 納付期限 税額
土地 7月頃 8月末 21万円
建物 9月頃 10月末 16.5万円

※軽減措置適用後の概算額

ケース2:中古マンション購入

物件概要

  • 購入価格:3,000万円
  • 評価額:2,100万円
  • 専有面積:75㎡
  • 築年数:15年(軽減措置対象)
  • 取得日:2025年6月15日

支払いスケジュール

対象 通知時期 納付期限 税額
建物・土地 9月頃 10月末 27万円

※軽減措置適用後の概算額

支払い時期の年間スケジュール例

取得月 通知書到着予定 納付期限予定 備考
1月取得 4〜7月 5〜8月 年度末で処理が遅れる場合あり
4月取得 7〜10月 8〜11月 新年度で比較的スムーズ
7月取得 10月〜翌1月 11月〜翌2月 年末年始で遅れる場合あり
10月取得 翌1〜4月 翌2〜5月 年度をまたぐため注意

資金計画のポイント

  • 取得時:不動産取得税の概算額を計算し、資金を別途確保
  • 通知前:軽減措置の申請を忘れずに行う
  • 通知後:納付期限を確認し、早めに納付手続きを行う
  • 年末年始:取得時期によっては翌年の支払いになることを考慮

8. よくある質問と回答

A. 取得から6ヶ月以上経過しても通知書が届かない場合は、以下の対応を取ってください:

  • 管轄の都道府県税事務所に問い合わせ:住所や取得状況を確認
  • 住所変更の確認:登記上の住所と現住所が異なる場合は連絡
  • 軽減措置の適用状況確認:軽減により税額が0円の場合は通知されない場合あり
軽減措置により税額が0円または少額の場合、通知書が送付されない自治体もあります。

A. 納付期限を過ぎると以下のペナルティが発生します:

  • 延滞金の発生:年2.4%〜8.7%の延滞金
  • 督促状の送付:期限後20日以内に督促状が届く
  • 財産調査・差押え:長期間放置すると強制執行の可能性
対策:支払いが困難な場合は、事前に税務署に相談し、分割納付などの相談をしましょう。

A. 軽減措置の申請期限は以下の通りです:

  • 原則:不動産取得から60日以内
  • 特例:納税通知書が届いてから申請可能な場合もあり
  • 住宅建設予定地:土地取得時に事前申告が必要
推奨:取得後すぐに管轄の都道府県税事務所に相談し、必要書類を準備することをお勧めします。

A. クレジットカード納付の注意点:

  • 手数料:税額の0.8%程度の決済手数料が発生
  • 利用限度額:カードの利用限度額内での支払い
  • ポイント還元:手数料とポイント還元率を比較検討
  • 分割払い:一部の自治体では分割払いも可能
計算例:税額30万円の場合、手数料約2,400円。ポイント還元率1%なら3,000円分のポイント獲得で実質お得。

A. 住宅ローン控除と不動産取得税は別々の制度です:

  • 住宅ローン控除:所得税・住民税から控除(国税・地方税)
  • 不動産取得税:不動産取得時の一回限りの税金(都道府県税)
  • 併用可能:両方の制度を同時に利用可能
  • 申請先:住宅ローン控除は税務署、不動産取得税軽減は都道府県税事務所
どちらも住宅取得時の税負担軽減制度なので、条件を満たす場合は両方とも活用しましょう。

まとめ:不動産取得税の支払い時期を正しく理解しよう

不動産取得税の支払い時期について、重要なポイントをまとめます:

支払い時期の基本

  • 取得と同時の支払いは不要
  • 納税通知書到着後30日以内に納付
  • 通知書は取得後3〜6ヶ月で届く
  • 物件種別により時期が異なる

成功のポイント

  • 事前に概算額を計算し資金準備
  • 軽減措置の申請を忘れずに実施
  • 納付方法を事前に検討
  • 期限を守り延滞金を回避

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不動産取得税計算ツール

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参考情報・外部リンク

政府・公的機関

  • 国税庁 - 不動産取引に関する税制の総合情報
  • 国土交通省 - 住宅取得支援策・特例措置について

専門情報

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