固定資産税評価額の調べ方完全ガイド【2025年最新版】| 5つの確認方法と計算シミュレーション

公開日: 2025年7月17日
監修: 佐藤雅彦(税理士)
読了時間: 約10分
この記事のポイント
  • 固定資産税評価額を調べる5つの方法を詳しく解説
  • 納税通知書の見方と評価証明書の取得方法
  • 土地・建物の評価基準と計算シミュレーション
  • 評価額が適正かどうかの判断方法

固定資産税の計算や不動産の価値を把握するために、固定資産税評価額を正確に調べることは非常に重要です。しかし、「どこで確認できるのか」「どの書類を見ればよいのか」分からない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産税務を専門とする税理士が、固定資産税評価額を調べる5つの方法から、評価基準、計算シミュレーションまで詳しく解説します。不動産を所有している方や購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

固定資産税評価額とは?基本知識

固定資産税評価額とは、市町村が固定資産税を課税するために決定する不動産の価値のことです。この評価額は、実際の市場価格とは異なり、税務上の評価基準に基づいて算定されます。

土地の評価額

  • 公示価格の約70%が目安
  • 路線価方式または標準宅地比準方式で算定
  • 地形、立地条件等を考慮
  • 3年に一度評価替え

建物の評価額

  • 再建築価格の約50-70%が目安
  • 構造、築年数、設備等を考慮
  • 経年減価補正率を適用
  • 新築時は建築費の約60%程度

重要なポイント

固定資産税評価額は市場価格とは異なります。一般的に市場価格の70%〜80%程度となることが多く、税務上の評価基準に基づいて算定されるため、実際の売買価格とは差が生じます。

固定資産税評価額を調べる5つの方法

固定資産税評価額を調べる方法は複数あります。それぞれの特徴と利用場面を詳しく見ていきましょう。

1

固定資産税納税通知書

  • 時期:毎年4月頃に送付
  • 費用:無料
  • 対象者:所有者のみ
  • 情報:評価額、課税標準額、税額

最も一般的で手軽な確認方法です。

2

固定資産税評価証明書

  • 取得場所:市区町村役場
  • 費用:300円程度
  • 対象者:所有者、代理人
  • 情報:詳細な評価額情報

公的な証明書として利用可能です。

3

固定資産課税台帳

  • 閲覧場所:市区町村税務課
  • 費用:無料(閲覧のみ)
  • 対象者:所有者、借地人等
  • 情報:詳細な課税情報

詳細な情報を無料で確認できます。

4

縦覧制度

  • 期間:4月1日〜第1期納期限
  • 費用:無料
  • 対象者:納税者
  • 情報:他の物件との比較可能

評価の適正性を確認できます。

5

登記事項証明書

  • 取得場所:法務局
  • 費用:600円
  • 対象者:誰でも
  • 情報:参考値として記載

参考情報として活用できます。

納税通知書での確認方法と見方

最も一般的な確認方法である固定資産税納税通知書の見方を詳しく解説します。

納税通知書に記載される重要な項目

項目 内容 確認ポイント
価格(評価額) 固定資産税評価額 税額計算の基礎となる金額
課税標準額 実際に税率をかける金額 軽減措置適用後の金額
税率 標準税率1.4% 自治体により異なる場合あり
税額 年間の固定資産税額 実際の納付額
都市計画税 都市計画区域内の税額 税率0.3%が上限

納税通知書の活用ポイント

  • 「価格」欄が固定資産税評価額です
  • 土地と建物で別々に記載されています
  • 前年度との比較で評価額の変動を確認できます
  • 軽減措置の適用状況も確認できます

納税通知書が届く時期と注意点

送付時期

  • 4月上旬〜中旬:多くの自治体
  • 5月上旬:一部の自治体
  • 6月上旬:東京都23区

注意点

  • 住所変更の届出を忘れずに
  • 紛失した場合は再発行可能
  • 共有名義の場合は代表者に送付

固定資産税評価証明書の取得方法

公的な証明書として利用できる固定資産税評価証明書の取得方法を詳しく解説します。

取得方法と必要書類

取得場所

  • 市区町村役場(税務課)
  • 出張所・支所
  • 一部自治体ではコンビニ交付対応
  • 郵送での取得も可能

必要書類

  • 本人確認書類(運転免許証等)
  • 印鑑(認印可)
  • 手数料(300円程度)
  • 委任状(代理人の場合)

評価証明書に記載される情報

項目 土地 建物
所在地 地番 家屋番号
面積・規模 地積(㎡) 床面積(㎡)
評価額 土地評価額 建物評価額
課税標準額 軽減措置適用後 軽減措置適用後
その他 地目、用途地域 構造、建築年

評価証明書の活用場面

  • 相続税申告:相続財産の評価資料として
  • 贈与税申告:不動産贈与時の評価資料として
  • 融資申込:担保評価の参考資料として
  • 売買契約:価格交渉の参考資料として

土地・建物の評価基準と計算方法

固定資産税評価額がどのように算定されるのか、土地と建物それぞれの評価基準を詳しく解説します。

土地の評価基準

評価方法

  • 路線価方式:市街地
  • 標準宅地比準方式:その他地域

評価の基準

  • 公示価格の約70%
  • 地価公示・都道府県地価調査を参考
  • 不動産鑑定士による鑑定評価

補正要因

  • 奥行、間口、形状
  • 角地、二方路地
  • 傾斜、高低差
  • 接道状況

建物の評価基準

評価方法

  • 再建築価格方式
  • 同一の建物を新築する場合の費用

評価の基準

  • 建築費の約50-70%
  • 固定資産評価基準に基づく
  • 構造別単価を適用

減価要因

  • 経年減価補正率
  • 構造・用途別の減価率
  • 維持管理状況
  • 設備の陳腐化

評価額の計算例

土地の計算例

条件:住宅地、200㎡、路線価20万円/㎡

基準評価額:20万円 × 200㎡ = 4,000万円

補正:奥行補正0.95、角地加算1.05

評価額:4,000万円 × 0.95 × 1.05 = 3,990万円

建物の計算例

条件:木造住宅、120㎡、築10年

再建築価格:15万円/㎡ × 120㎡ = 1,800万円

経年減価:築10年で0.8

評価額:1,800万円 × 0.8 = 1,440万円

評価替えについて

固定資産税評価額は3年に一度見直しされます(評価替え)。次回は2027年度で、地価の変動や建物の経年劣化を反映して評価額が更新されます。

評価額の適正性を判断する方法

固定資産税評価額が適正かどうかを判断する方法と、不服がある場合の対処法を解説します。

適正性の確認方法

1. 近隣物件との比較

  • 縦覧制度を活用
  • 同一地域の評価額を確認
  • 面積・構造等の条件を考慮

2. 市場価格との比較

  • 公示価格の70%程度が目安
  • 実際の取引事例を参考
  • 不動産鑑定評価との比較

3. 評価基準の確認

  • 固定資産評価基準に準拠
  • 補正率の適用状況
  • 特殊事情の考慮

不服申立ての手続き

評価額に不服がある場合は、以下の手続きで不服申立てができます。

手続き 期限 申立て先 費用
審査申出 納税通知書受領後3ヶ月以内 固定資産評価審査委員会 無料
訴訟 審査申出の決定後6ヶ月以内 地方裁判所 印紙代等

不服申立てのポイント

  • 具体的な根拠資料を準備する
  • 専門家(不動産鑑定士、税理士)に相談する
  • 期限を厳守する
  • 近隣物件との比較データを収集する

計算シミュレーションと活用方法

固定資産税評価額を活用した計算シミュレーションの方法と実用的な活用場面を解説します。

固定資産税の計算シミュレーション

評価額が分かれば、固定資産税額を簡単に計算できます。

物件種別 評価額 軽減措置 課税標準額 年間税額(1.4%)
土地(200㎡以下) 3,000万円 1/6軽減 500万円 7万円
新築住宅(120㎡) 1,500万円 3年間1/2軽減 750万円 10.5万円
中古住宅(100㎡) 1,200万円 軽減なし 1,200万円 16.8万円

不動産購入時の活用

  • 年間維持費の試算
  • 購入判断の材料
  • 資金計画の策定
  • 物件比較の指標

相続・贈与時の活用

  • 相続税評価の参考
  • 贈与税計算の基礎
  • 遺産分割の参考
  • 税務申告の資料

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固定資産税を計算する

よくある質問と回答

A1. 最も簡単な方法は、毎年4月頃に送付される固定資産税納税通知書で確認することです。その他、市区町村役場で固定資産税評価証明書を取得する方法や、固定資産課税台帳を閲覧する方法もあります。

A2. 固定資産税評価額は税務上の評価基準に基づいて算定され、一般的に市場価格の70%〜80%程度となります。市場価格は実際の売買で成立する価格で、需給関係や市場動向に左右されます。

A3. 固定資産税評価額は3年に一度見直されます(評価替え)。次回は2027年度で、地価の変動や建物の経年劣化を反映して評価額が更新されます。

A4. 納税通知書受領後3ヶ月以内に、固定資産評価審査委員会に審査申出を行うことができます。具体的な根拠資料を準備し、専門家に相談することをお勧めします。

A5. 土地の評価額は路線価方式または標準宅地比準方式で算定されます。形状や接道状況による補正が適用されるため、同じ地域でも評価額が異なる場合があります。縦覧制度を活用して近隣物件と比較することが重要です。

A6. 建物の評価額は再建築価格に経年減価補正率を適用して算定されます。構造や用途により減価率が異なり、木造住宅では築20年で約60%、鉄筋コンクリート造では築30年で約70%程度となることが一般的です。

まとめ

この記事では、固定資産税評価額の調べ方について詳しく解説しました。重要なポイントをまとめると:

✓ 5つの確認方法

  • 納税通知書(最も一般的)
  • 固定資産税評価証明書
  • 固定資産課税台帳の閲覧
  • 縦覧制度の活用
  • 登記事項証明書(参考値)

✓ 活用のポイント

  • 市場価格の70%〜80%が目安
  • 3年に一度評価替えがある
  • 軽減措置の適用状況を確認
  • 不服申立ての制度がある

固定資産税評価額を正確に把握することで、適切な税額計算や不動産の価値判断が可能になります。疑問がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。

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監修者:佐藤雅彦(税理士)

東京税理士会所属。不動産税務を専門とし、15年の実務経験を持つ。年間200件以上の不動産税務相談に対応し、特に固定資産税の評価と軽減措置活用に精通。

主な著書:「わかりやすい不動産の税金ガイド」「固定資産税の実務と対策」など
専門分野:固定資産税、不動産取得税、不動産投資税務、相続税対策

参考リンク